茶文字の里で話題の世界農業遺産 茶草場農法に挑戦!

茶文字の里の魅力はお茶だけじゃなかった
電車の車窓や空港から誰もが一度は見たことがあるだろう「茶」文字。掛川市東山にある茶文字の里では、世界農業遺産に認定された茶草場農法によって良質なお茶・東山茶が代々受け継がれています。茶草場農法とは、茶畑周辺の採草地(茶草場)のススキやササなどの草を刈り、乾かした後、細かく刻んで茶畑の畝間に敷くというもの。それにより葉が厚く、緑が濃い、それでいて葉のやわらかなお茶が育ちます。実際飲んでみると色が濃い割に甘いので驚きです。さらに東山の茶草場ではハルリンドウやフジタイゲキ、カケガワフキバッタなど多様な動植物を見ることができます。これが世界農業遺産に選ばれた理由です。

茶文字景観
昭和7年当時、地元の人が手旗信号で作った「茶」文字は東山のランドマーク。
茶草場農法は本来、茶の木自体の作業がない秋冬に茶草を刈り、畝間に敷きます。
「お茶一筋」で生活する茶処を象徴する景観です。

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晴れの日には富士山、伊豆半島、遠州灘を一望できます。

茶草場農法のはじまり
茶文字の里のある粟ヶ岳は砂礫が多い土壌で、お茶をつくるには水はけが良すぎる場所です。茶草場農法は茶草が保水力を高め分解後には肥料にもなることから、徐々に根付いていきました。「はじめはお茶が美味しくなる為に茶草を敷いていただけなんです。絶滅が危惧されているキンランも当たり前の光景と思っていました」。茶文字の里でツーリズムのガイドも務める山城みや子さんは、世界農業遺産認定を受けて初めて今までの取り組みが茶草場の生物の多様性を守っていたことを知ったと教えてくれました。

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山城さんに教えていただきながら畝間に茶草を敷いていきます。

県内外、海外からも!交流型ツーリズムで伝えたいこと
「農業遺産は常に動いているもの。人間が守らないと守れないわけで、考え方によっては富士山よりも大事だと思う」東山育ちで長年農業を営む杉山敏志さんは、同じ世界遺産でも農業遺産の継続が大事だと教えてくれました。東山で茶草場農法が取り入れられてから一五〇年以上、草を刈っては敷くという行為が欠かさず行われてきたからこそ多様な生物や景観、美味しいお茶が今も残されています。県内外・海外からの視察研修、ツーリズム参加者が増えている今、伝統農業や四季折々の景観を通し茶文字の里が伝えているのは、「地道に環境を守ること」そのものでした。

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杉山さん(左)と山城さん(右)

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徒歩登山を日課にしているという加藤さん(今年喜寿!)腰痛も治ったとか!

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磐田市、藤枝市などから登山に訪れる人で賑わう「いっぷく処」

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茶文字まんじゅうが人気

弁当
地元食材をふんだんに使ったお弁当「のら弁」(要予約)

 

体験日  平成28年2月
場所   茶文字の里 東山
■東山いっぷく処(水曜休み)
掛川市東山1173-2 TEL.0537-27-2266
www.higashiyamacha.jp
■東山いっぷく処粟ヶ岳山頂店(月曜休み)
掛川市東山1050-1 TEL.0537-27-0845

(編集協力/静岡時代)