【島田市】伊久美地区でホップ栽培が始まりました
美しく品格のある邑に登録されている伊久美地区(島田市伊久美)では、昨年よりビールの原材料となるホップの栽培が始まりました。
手掛けるのは合同会社「ビアホップおおいがわ」の小林浩樹さん。
もともとは藤枝市にある大久保キャンプ場・グラススキー場で働いていた小林さんがホップ栽培に転身したのは2020年のこと。キャンプ場で働いていた10年前からビールを作りたいという思いはありましたが、当時は現実的に難しかったと言います。
しかし、2019年に開催されたラグビーワールドカップをスタジアムで観戦し、「コミニュケーションの場作りにビールは重要な飲み物だ」と確信。再びビール作りへの思いは強くなりました。
現在、静岡県内にあるビールの醸造所は20箇所を超えます。その醸造所の多くは、観光スポットが多数ある東部・伊豆エリアにあり、中部エリアは4ヶ所ほどと東部・伊豆エリアに比べるとだいぶ少なめ。
そこで、寸又峡や大井川鉄道など観光スポットを有する大井川流域をホップ栽培の地にし、ビールの醸造などで地域を盛り上げて行きたいと小林さんは言います。
ホップは主に、北海道や東北などの寒冷地で栽培されていますが、今回比較的温暖な伊久美地区でホップを収穫することができました。
「ホップが収穫できた土地は、もともとはお茶畑だった場所なんです。お茶は酸性の土で作られるのでアルカリ性の土で作るホップには適していませんが、この土地は以前ソバを育てていたんです。私自身ソバ作りに関わっていたことがあるので知っていたんですが、ソバはホップと同じアルカリ性の土壌を好みます。ソバができるということは、ホップもできるのではないかという自信はありました」と小林さん。
共同経営者の清水貢さんの農業技術を活かし、苦土石灰を入れて土壌改良をし、ホップが栽培できる土を作りました。
ホップは3月下旬に苗を植え付け、通常7〜9月に収穫しますが、静岡県は温暖な気候のため本格的に暑くなる前の7月に収穫をしました。1年目にして栽培まで至ったのは「ひとまず成功」と小林さん。「今回北杜市(山梨県)のホップ農家さんに分けていただいた苗がすごく良かったんです。伊久美での栽培が成功し、ようやく一歩進んだというところですね。今、お茶農家さんは高齢化が進んでいるし、どこの地域も代替え作物としてなにかないかというのを模索しているんです。そこでホップをお茶畑で作ったということは注目していただいているというのは実感しています」
ホップの試験栽培は、伊久美エリア3箇所と藤枝市にある自宅の計4箇所で行い、成功したのは1箇所のみ。他の場所はカモシカなどの被害や長雨による生育不良がありました。
栽培1年目は2.5kgのホップが収穫でき、藤枝市にある西光エンジニアリングでホップを乾燥。掛川市にあるKakegawa Farm Brewingで試験醸造を行いました。
「乾燥は独自の方法も模索していて、シイタケの乾燥機を使った試験乾燥にも挑戦しました。西光さんでは1〜2時間ほどで乾燥できましたが、シイタケ乾燥機では10時間ほどかかります。いろいろな方法に挑戦していこうと思っています」と小林さん。
また、茶農家自体が少なくなっている昨今、あいている茶工場を使って加工をやることも考えているそうです。
「島田ドライホップエール」と名付けられたクラフトビールは、昨年12月26日・27日には島田市地域交流センター歩歩路(ぽぽろ)で販売を行い、両日とも用意した分が完売するなど、期待度の高さも伺えます。
また、同じく昨年12月には島田市の染谷絹代市長を表敬訪問し、伊久美エリアをホップの地にすることへの激励の言葉もいただきました。
栽培2年目となる今年はホップの収穫量100kgを目指したいと小林さん。また、醸造免許の取得や、伊久美地区に醸造所とビアカフェを作るという構想を現実化すべく活動されていくと言います。
大井川流域がホップ栽培の地となるのも遠くない未来なのかもしれません。
=========================================
〈新型コロナウイルス感染症対策「新しい生活様式」を実践しましょう〉
・3つの密を避けましょう(密閉空間 密集場所 密接場面)
・マスクを付け、咳エチケットをしましょう
・こまめに手を洗い消毒をしましょう
・換気をしましょう
・不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたいだ移動については慎重に行動しましょう
・体温測定や健康チェックをし、発熱や風邪の症状がある場合は無理せず自宅で療養しましょう
現在静岡県コロナウイルス感染症対策本部の警戒レベルは「レベル4(県内警戒、県外警戒)」であり、今後の感染拡大防止に注意が必要です
一日も早くこの事態が収束することを願って、「新しい生活様式」を実践し、できることをしていきましょう