「徳山」に伝わる神楽に魅了された一夜(美しく品格のある邑)
美しく品格のある邑に登録されている「徳山」(榛原郡川根本町)で、〝徳山神楽〟が行われました。徳山には静岡県指定無形民族文化財の〝徳山神楽〟と、以前紹介した〝徳山の盆踊〟のふたつが、貴重な民族芸能として古来より伝えられています。
10月7日に徳山地区で行われた〝徳山神楽〟は、徳山神社の例祭に合わせて奉納されるもので、江戸時代前期には定着していたと言われています。
地元徳山地区の小学生も練習を重ね、この日を迎えました。徳山神楽は15の舞が奉納され、その中には火のついた松明(たいまつ)を両手に持って舞う「火の舞」、弓を持ちながら舞う「八幡の舞」、女郎と翁に扮した二人のユーモアな掛け合いが楽しい「宇受売・翁の舞」、恵比寿・大黒に扮した二人による「恵比寿・大黒の舞」などがあり、「恵比寿・大黒の舞」では最後にお菓子をまいてくれるなど、楽しいやりとりもたくさん。
最後の「大弓の舞」では神官が弓を持ちながら舞い、放たれた矢が魔除けになると見物人が持って帰りました。
それぞれの舞いにさまざまな意味があり、「火の舞」の燃え残った松明は火除けになるとされていたり、「八幡の舞」でも放たれた矢は魔除けになるとされています。また、「湯の舞」ではまきちらした湯にあたると無病息災とされているなど、意味を知って神楽の見物に行くと、より楽しめるかもしれません。
また仕掛け花火やお菓子拾い、道化との絡みなどもあるのもこの神楽の楽しみのひとつとなっており、地域住民だけでなく、近隣地区からも子どもたちが見物にやってきます。このように、小さな子どもから、ご年配の方までが楽しみ、親しめる地域の行事として、この先も続いてほしいものです。
なお、徳山の盆踊は同じ重要無形民俗文化財の「風流(ふりゅう)」グループに属する新潟県柏崎市の「綾子舞」と交流があり、11月に行われる公演会で徳山の盆踊を披露するそうです。