【いくみ(島田市)】アートひかり公演「JapanTea物語」を観劇してきました

島田市の北東部に位置し、美しく品格のある邑登録地でもある伊久美エリアで、1117日(日)に〝アートひかり公演「JapanTea物語」〟が行われました。

     

もともとこのお芝居は藤枝市にある会場で行われていましたが、伊久美に残るお茶の歴史を描いたお話ということもあり、伊久美在住の西野恭正さんから「ぜひ伊久美で公演して欲しい」という熱望を受けて昨年の193 VALLEY BREWINGに続いて実現に至ったそう。

会場は今年の3月に閉校した伊久美小学校。

ここで、西野真さん著「大井川連環の譜-近代日本茶物語」を基に制作された演劇作品が披露されました。

今でこそ「静岡といえばお茶」のイメージですが、江戸時代から明治時代にかけて静岡茶は現在ほどの知名度はなく、伊久美のお茶も危機的状況にありました。その頃、江戸では宇治製法の煎茶が人気を博していたこともあり、伊久美村の熱血青年茶師と呼ばれた「坂本藤吉」は単身で宇治へ向かって宇治製法という手もみの製法を学び、翌年には私財を投じて宇治製法を住民に教える伝習所を伊久美に開設しました。

宇治製法を取り入れた伊久美のお茶は江戸で人気を博し、横浜港が開港してアメリカとの貿易が始まると国際商品として外国商館たちが競って買い求める茶へと発展していきました。

この軌跡を描いたお話を5人の役者さんに加えて、音楽をのまど舎さんが担当し、笑いあり演奏ありでコミカルでリズミカルな形で熱演。先人たちが汗と涙を流しながら伊久美のお茶をどのように発展させたのかがよくわかるお芝居でした。

上演時間は2時間近くありましたが、小学生の子どもも食い入るようにステージを見ていました。

公演以外にも、誰でも参加OKの舞台でセリフを喋るワークショップや、プロのチンドン屋さんと会場内を練り歩く体験も。

ミニマルシェも行われ、伊久美茶や特産品などの販売ブース、伊久美にあるリサイクルステーション〝土間de〟がリサイクル品を並べたりと賑やか。伊久美で育てられた茶葉を使用した和紅茶やほうじ茶も試飲できました。

公演の主催者〝アートひかり〟の演出・仲田恭子さんと俳優・杉山雅紀さんは、以前は大阪を拠点に活動されていましたが、伊久美を舞台にしたお芝居をきっかけに地域の皆さんとの交流を通して地域に魅力を感じ、2023年8月から伊久美に移住して活動をされています。

お二人が移住したことをきっかけに、廃校によって途絶えてしまった伊久美小学校の全校児童が作り上げるオペレッタが有志のメンバーで復活したそう。

今回のお芝居を通して伊久美という地域を知る機会にもなり、またお芝居を見るために地域外からも多くの人が訪れていたこともあり、アートひかりの活動は地域活性化の一役を担っているようにも感じました。

 

 

アートひかり
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