【三島】 三嶋大社新嘗祭 <ふじのくに美しく品格のある邑> 箱根西麓三島野菜の宝船つくりに密着!
11月22日、三島大社新嘗(にいなめ)祭の見どころの1つ、箱根西麓三島野菜でつくられる「宝船」制作現場を見させていただきました。三島商工会議所青年部とJA三島函南青壮年部がタッグを組んで今年で5年目、宝船制作は地域とのつながりを広める活動の一環として行われています。
宝船の奉納は五穀豊穣を感謝して行うもので、滝川で禊(みそぎ)後、神輿に野菜をのせて三嶋大社に運び、三島函南青壮年部が作成した美しい木製の船に、箱根西麓三島野菜の生産者十数名がリーダーの指揮の元、野菜を盛り付けていくのですが、この宝船、壮大なアート作品です。
製作は和気あいあいとした雰囲気で始まります。2トントラック2台分以上の野菜を使った即興アート。奉納される野菜の量も種類もその場でしか分かりません。キャベツ・白菜を交互に土台をつくり、野菜の上下・奥行きを工夫。三段目からは内側に盛り、風の強さ、翌日の野菜のしなり具合を考慮しながら高さを出します。
重ねては全体図を確かめ、立体感や重量感のバランスをみます。ライトアップも予測し、「白が欲しい」「差し色がほしい」と呼ばれる大根やニンジンの鮮やかな事。野菜で絵を描いているようです。これだけの種類が揃うのは箱根西麓三島野菜ならでは。
ふじのくに美しく品格のある邑に指定された三島箱根西麓地区は、富士山や駿河湾を見渡せる箱根の西麓、標高50メートルの斜面地にあります。箱根西麓三島野菜は、消費者の多様なニーズに応えた新しい野菜作りの結果、品目数が多く、その野菜畑の姿は、“様々な色彩を描く野菜畑のパッチワーク”と称され、平成27年度静岡県景観賞で優秀賞に選ばれました。三島コロッケで有名な「三島馬鈴薯」は、2018年、長年の生産者の伝統と技術が評価され、国の地理的表示保護制度に静岡県下で初登録。箱根西麓三島野菜の商品化は次々と進み、美味しい野菜つくりだけでなくパッケージデザインでも静岡グッドデザイン賞を獲得するなど、戦略的なブランディング力で知名度を上げました。結果、地元での需要(一般消費者・レストラン等)が高まり、地産池消の文化が進んでいます。三島市での、農業・商業・観光との地域を挙げての六次産業化の推進に、箱根西麓三島は中心的な役割を担っています。
(公式ページhttp://hakoneseirokumishimayasai.jp/)
若手農家の宮澤さんは、まさに、「西麓三島野菜はつながる野菜」とおっしゃっていました。野菜で人を繋げる、文化、歴史を繋いでいく。そして、自分たちには三島の農業を次の世代に繋げる役目があると。農業に「やる価値がある」ことを次世代に見せていくのだと。また、「この宝船つくりは、みなにとって地域・行政・他業種の方々とつながる機会」、と話してくれたのは生産者の加藤さん。野菜をつくり出荷する日々の中、制作を通して他者とつながることで仕事にメリハリもでるそうです。展示は、「(自分たちが)こんなオシャレな野菜をつくり、オシャレに飾ることもできる」ことを世に見せる機会となり、いきがいを感じるとも話していただきました。
今年の宝船のテーマは「流線」。総容量3トンの野菜が流れるような動きを醸し出しました。前向きで、挑んでいる箱根西麓三島野菜だからこその、宝船でした。来年はどんな野菜がアート作品に変わるのでしょうか。今から楽しみな来年の三嶋大社新嘗祭。宝船は、制作の翌日に、野菜のおすそ分けと宝汁が無料で配られます。毎年長蛇の列ですが、来年は、お腹に入れる前にぜひ、宝船アートを鑑賞していただき、生産者さんの想いを感じてみてください。
『新嘗祭』問合せ: 三島商工会議所青年部事務局 055-975-4441
『箱根西麓三島野菜』問合せ: JA三島函南 055-971-8211
三島箱根西麓地区についての詳細(「ふじのくに美しく品格のある邑」サイト内)